- フィリピンの書店Fully Bookedでうけつの本がプロモーションされていた話
- フィリピン人の視点から見たStrange Housesの感想(辛口あり)
- 実際に読んでみた英語の難易度・多読素材としての使いやすさ
フィリピンのマニラで書店に入ったら、日本の作家の本がフロントを飾っていました。うけつさんの「Strange Houses」と「Strange Buildings」です。
日本でもYouTubeから火がついて話題になった作品ですが、まさかマニラの書店でこんなふうに並んでいるとは思っていませんでした。

フィリピン最大手の書店チェーンFully Bookedで、Strange HousesとStrange Buildingsが入口付近に複数冊並んでいました。刷数も多そうで、手に取っている人も結構いました。
日本人の著者がフィリピンの書店のフロントに置かれているのは、なかなか珍しいことだと思います。
うけつさんはマスクと声チェンジャーで素顔と素声を隠したまま活動するYouTuberで、ミステリーやホラーを専門にしています。日本では「変な家」として知られる作品が、英語圏ではStrange Housesというタイトルで展開されています。
私の妻はフィリピン人で、英語がほぼ母語レベルの読者です。シリーズを両方読んでいて、感想を聞きました。
正直なところ、Strange Picturesのほうが面白かったという評価でした。Strange Picturesでは、いろんな人が描いた絵が登場します。描いた人の年齢も背景もバラバラなので、それぞれの絵に心理的な奥行きがある。それに比べると、Strange Housesの間取り図はどれも印象が似ていて、変化に乏しく感じたと。
「答えを全部出してくれる」という点も気になったようです。登場人物たちが謎を整理して読者に説明してくれるので、考える余地が少ない。会話と報告形式が中心なので、物語の中にいる感覚より、出来事の要約を聞いている感覚に近い、と言っていました。
キャラクターについても、主人公もクリハラも考え方は面白いけど人間として見えてこない、という印象だったようです。短い作品なので仕方ない部分もあるとは思いますが。
辛めの評価でしたが、うけつさんの発想自体は好き、次のStrange Buildingsは読む、とも言っていました。建物という素材のほうが間取り図より展開に幅が出そう、という期待もあるようです。
私自身も読みました。英語の難易度という点では、かなり読みやすかったです。
- 全体のボリュームが130〜200ページ程度と短い
- 会話形式が中心で、文章構造がシンプル
- 間取り図が多く、文字だけでなく図から内容を補完できる
- 謎が推進力になるので、知らない単語があっても読み続けられる
会話・報告形式が多いという点は、文学的には物足りなさにつながるかもしれませんが、多読素材としては逆にプラスです。複雑な描写が少なく、英語の構造がシンプルなので、TOEIC600点前後から読み始められると思います。日本語版で「変な家」を読んだことがある方なら、さらにハードルは下がります。
フィリピンの書店でプロモーションされるくらい英語圏でも届いている作品ですし、謎解き要素があるので読み続ける動機も維持しやすい。多読の入門として悪くない一冊。
フィリピン駐在の方がおりましたら手に取ってみてはいかがでしょうか。