シドニーシェルダンとはどんな作家か
シドニーシェルダン(Sidney Sheldon、1917〜2007)は、アメリカの小説家・脚本家。アカデミー脚本賞を受賞したハリウッドの実力者が、50歳を過ぎてから小説を書き始めたというのが彼のキャリアの面白いところです。
18冊の小説は51言語に翻訳され、累計3億部以上を売り上げ、ギネスブックに「最も翻訳された作家」のひとりとして記録されています。日本では1990年代に空前のブームとなり、「シドニーシェルダン現象」と呼ばれるほどの人気を博しました。アカデミー出版の超訳で読んだ世代には、懐かしい名前でしょう。
シェルダンの魅力は一言でいえば「読み始めたら止まらない」ことです。強い女性主人公、世界各地を舞台にした壮大な物語、予測不能な展開。難しい文学的なテーマではなく、純粋に「面白い話を読みたい」という気持ちに全力で応えてくれる作家です。
シェルダンは洋書多読の登竜門でもある
本ランキングは日本語版を中心にお届けしますが、シェルダンは洋書多読の世界では伝説的な「最初の一冊」候補として知られています。理由はシンプルで、英語が驚くほど読みやすいのに、物語の引きが強くて挫折しないから。
シェルダンの英語は、以下の特徴があります。
- 文章が短く、難しい構文がほとんどない
- 会話文中心でスピード感がある
- 場面転換が明確で、混乱しにくい
- 難しい単語が出てきても、文脈で意味を取れる
TOEIC 600〜700前後のレベルから挑戦でき、ハリーポッターより読みやすいとも言われています。本記事では、各作品ごとに「英語版で読むなら」という情報も合わせて紹介します。総語数と難易度を比較できるので、英語多読の挑戦リストを作る方にも役立つはずです。
シェルダンの作品は、Audible(オーディブル)の英語オーディオブックでも提供されています。文章が平易なので耳でも理解しやすく、英語のリスニング教材としては最高クラスの娯楽性。30日間の無料体験中に1冊聴ききれるボリュームの作品も多いので、試す価値があります。
1位:ゲームの達人(Master of the Game)
シドニーシェルダンの代表作にして、全作の中で最もスケールが大きい一冊。ブクログ・読書メーターなど、日本の主要な読書コミュニティのほぼすべてでシェルダン作品の1位に選ばれています。
南アフリカで一文無しからダイヤモンド王国を築いた男・ジェミー・マクレガーを起点に、その娘ケイト・ブラックウェル、孫、ひ孫へと続く4世代100年の物語です。読み終えたとき、「これだけの人間ドラマを1冊に詰め込めるのか」と素直に驚きます。
とりわけ強烈なのがケイト・ブラックウェルというキャラクター。財閥を支配し、自分の意志を通すためなら家族さえも操る女性。愛しているのに怖い、という複雑な感情を読者に与えてくれます。
シェルダン英語版の中ではもっとも長い1冊ですが、4世代の物語が時系列で進むのでストーリーが追いやすく、息切れせず読み切れます。シェルダンの英文の特徴である「短い会話の連続」と「明快な場面転換」をもっとも色濃く味わえます。多読の中ボス的存在。
Amazonで英語版を見る詳しくは別記事でもまとめています。
2位:明日があるなら(If Tomorrow Comes)
シェルダン作品の中で最もエンタメ性が高く、初めて読む人にもっとも推しやすい一冊です。
主人公のトレーシー・ホイットニーは、マフィアに罪をなすりつけられ15年の刑を言い渡されます。頭脳と美貌を武器に復讐を果たした後、今度は天才的な詐欺師として世界中を舞台に活躍していきます。彼女と同じくらい手の込んだ詐欺師であるジェフ・スティーブンスとの関係も読みどころ。
スピード感があり、各章に次の展開を読ませる引きがあります。「読み始めたら止まらない」という体験を最も純粋な形で味わえる作品です。
盗み出すアイテムごとのエピソードを集めた短編集的な構成なので、章単位でキリよく読み進められます。これが英語多読では大きな利点で、「区切りよく中断できる」のはモチベーション維持に直結します。シェルダン洋書デビューにベスト。
Amazonで英語版を見る3位:明け方の夢(Tell Me Your Dreams)
シェルダン作品の中でも異色の一冊。ストーリーの作り方がほかの作品と大きく違い、「これはどういう話なんだ?」と読み続けるうちに、終盤で大きな構造が見えてくる作品です。
コンピューターの天才・アシュリー・パターソンは、自分がストーカーに狙われていると感じています。彼女をめぐる物語に、まったく別の人物トニ・プレスコットとアレット・ピーターズが絡んでくる。この3人がどう繋がっているのかが物語の焦点で、「まさかそういうことか」という驚きが待っています。
犯罪心理と医学的なテーマが絡み合う、シェルダン作品の中でも知的な後味が残る一冊です。
シェルダン英語版の中では総語数が短めなので、洋書1冊目に挑戦するならこちらもおすすめ。後半にアメリカの裁判用語が出てきますが、文脈で押せます。法律ドラマを英語で楽しみたい人にも刺さる作品です。
Amazonで英語版を見る4位:女医(Nothing Lasts Forever)/邦題「永遠に消えない傷」
医療サスペンスという、シェルダン作品の中では珍しいジャンルの一冊。女性医師3人の友情と、それぞれに降りかかる予測不能な出来事を描きます。
冒頭から主人公ペイジ・テイラーが「患者の殺害」で起訴されている場面から始まります。その弁護は「安楽死だった」というもの。こんな書き出しで始まる医療ミステリが面白くないはずがない。安楽死という普遍的なテーマを、エンタメとして昇華させた点でシェルダンの技量が光ります。
医療サスペンスなので医療用語が出てきますが、それを除けば英語は短く分かりやすい部類です。後半に向けてどんでん返しが続くので、ページをめくる手が止まりません。医療系の英単語に親しみたい人にもおすすめ。
Amazonで英語版を見る5位:血族(Bloodline)
製薬一族の後継者をめぐる権力闘争と陰謀を描いたサスペンス。1979年にオードリー・ヘプバーン主演で映画化(邦題「華麗なる相続人」)されたことでも知られています。
国際的な製薬会社「ロッフェ・アンド・サンズ」の創業者が謎の事故死を遂げ、一人娘エリザベスが経営を引き継ぎます。会社を売ろうとする欲深い親族たち、そして彼女の命を狙う何者か。エリザベスがどう立ち向かっていくか、最後まで目が離せません。
シェルダン作品の中ではやや古典的な構造ですが、テンポの良さと登場人物の描き分けが優れており、入門書としても読みやすい一冊です。
製薬会社が舞台なので国際ビジネス系の語彙にも触れられます。場面がヨーロッパ各地を飛び回るので、地名や国名が頻出。ビジネス英語の語彙も少しずつ学べる実用的な一冊です。
Amazonで英語版を見る6位:真夜中は別の顔(The Other Side of Midnight)
シェルダンの小説家デビュー2作目にして、ニューヨークタイムズ年間ベストセラー1位を獲得した作品。映画化もされています。
パリ出身の美しい女優ノエルは、愛したアメリカ人に裏切られ、その復讐に人生を捧げます。彼女が利用するのはギリシャの大富豪デミリス。一方、復讐の標的となったラリーは別の女性と結婚していて……。愛と復讐と権力が絡み合い、誰も予想しない結末へ向かっていきます。
「女の怖さ」という点ではシェルダン作品の中でも随一。ノエルの執念の描き方が圧巻で、続編「明け方の夢」と合わせて読むとさらに深みが増します。
シェルダン英語版で個人的おすすめベスト級。前半はゆっくり登場人物の背景を描き、後半に向けて加速する構成が見事です。続編「Memories of Midnight」も英語が易しく、続けて読みやすい。シリーズで多読を続けたい人に最適。
Amazonで英語版を見る7位:怒りの天使(Rage of Angels)
法廷サスペンスと恋愛とマフィアの三つ巴という、シェルダンらしいジャンルの掛け合わせが光る作品。主人公ジェニファー・パーカーは新人弁護士として裁判に臨んだ初日、手違いによってマフィアのボスを釈放してしまいます。
その後どの法律事務所にも雇ってもらえないジェニファーは、諦めずに一人で法律家として這い上がっていきます。しかし息子の命を救うためにマフィアと関わることになり、さらに有力政治家と、マフィアのボス本人という二人の男性との複雑な関係が彼女の人生を変えていく。
「明日があるなら」と並んで、強い女性主人公の成長と逆境への立ち向かい方を描いた作品として、シェルダンファンに長く愛されています。
法廷シーンが多めなので、法律英語の語彙にも触れられます。10万語というのは英語多読のちょうどいい中堅サイズで、読み切ったときの達成感もあります。法廷ドラマが好きな人、女性主人公の逆襲が好きな人にぴったり。
Amazonで英語版を見るどれから読む?まとめ
シェルダン初心者には「明日があるなら」か「血族」をまず勧めます。どちらも単体で完結しており、スピード感があって入りやすい。
シェルダンの全体像を知りたいなら「ゲームの達人」一択です。4世代100年という壮大なスケールで、シェルダンという作家の引き出しを全部見ることができます。読み終えた後のボリューム感が他の作品とは段違いです。
サスペンスよりも心理描写を楽しみたい人には「明け方の夢」、医療×法廷×女性の自立というテーマに関心のある人には「女医(永遠に消えない傷)」がおすすめです。
- 1冊目:Tell Me Your Dreams(70,000語) — 短めで挫折しにくい
- 2冊目:If Tomorrow Comes(122,400語) — 章単位で区切りやすい
- 3冊目:The Other Side of Midnight(131,500語) — 続編まで含めてシリーズ読み
- 大ボス:Master of the Game(140,500語) — シェルダン英語の集大成
シェルダンはAudibleの英語オーディオブックでも提供されています。30日間の無料体験で1冊聴き切れるボリュームなので、まずは耳から入ってみるのも有効です。文章が平易なのでリスニング教材としても優秀。






